なぜElitestなチームを作ることは難しいのか
マルチプレイヤーゲーム、とりわけ協力型対戦ゲームや高難易度団体PvEというジャンルにおいて、プレイヤーが一度は罹患する麻疹のような病があります。
それが「エリートチームを作りたい病」です。
これは拗らせると重症化して罹患者のゲーム体験を歪める極めて危険な病気です。
筆者としては出来る限り若年者の内に一度罹患しておくことをお勧めします。
麻疹に例えましたが、免疫を持たないまま中高年になってから罹患すると完治することなく、後遺症として精神疾患にも似た症状を引き起こす可能性があるからです。
(もちろん若い内から罹患して重症化したままというケースもあるでしょう)
さて、本記事ではこの病をいかにして治療するかという点は華麗にスルーします。放っておけば治ります。治らない場合、あなたの周囲には囲いがいる可能性が高いので人間関係を清算してください。
この「エリートチームを作りたい」という欲求は、ゲーマーなら誰しもある「勝ちたい」という欲求に根差しています。
(若年者の場合、社会生活上の刺激が多く、何らかの形で承認欲求が満たされることで寛解します)
しかしながら「勝ちたい」という欲求を満たそうとするときに、協力型マルチプレイゲームでは往々にして自身のプレイングに起因しない敗因が発生します。
要するに『味方ガチャ』です。
昨今のゲームではプレイヤー毎のスキルレートによってマッチングするという建前があるために「勝てないのは味方が弱い」という言説は「お前が下手なだけ」という反論で封殺されがちですが、筆者はぶっちゃけ「いや味方が糞でしょ」とさらに不毛な抗弁を言い募る派閥に属しています。
(というかスキルレートが本当にプレイヤーのスキルを正確に表現しているのなら、レーティングの数字はそうそう簡単には動かないはずです。あのマッチングシステムにおけるレーティングというのは、味方ガチャの結果によって変動する数字に一喜一憂させるギャンブルめいた数字に過ぎず、ソシャゲが射幸心を煽っているのと変わらないと断じておきます)
そのようなランダムマッチングの問題はさておき、プリメイドのチームでプレイする形式のゲームが、本稿において扱う「エリートチームを作りたい病」の主戦場であります。
さて、例えばここにプレイヤーレーティング1800程度の中堅プレイヤーがいるとします。(いわゆるプロゲーマーを2300から2200程度のレーティングと仮定しましょう)この中堅プレイヤーは多くの場合、レーティング1500から1200程度に過ぎない癖にガチャの結果によって一時的に上澄みになったド下手糞と組まされて毎度フラストレーションを溜めています。
「おれはこんな糞どもと組むためにプレイしてるわけじゃねえ!プリメイド作るぜ!」
「おれはこんな糞DPSのお守りをやるのは金輪際御免だぜ!」
「てめえらピックメタくらい勉強しろや、Tierリストに沿ってまともなピックしろ!」
「ギミック予習するの当然だろ、何がごめーん、だ豚野郎!」
うんうん、それもまたアイカツだね。
こうして彼は5人の仲間を集めてプリメイドチームを作りました。
ですが、やっぱり勝てません。
何故でしょう?
それは5人の技量、ゲームに対する理解度が平均的ではなかったからです。
ここが多くのチームメイクにおいて非常に重要なポイントなのです。
レーティング2200のプレイヤーを4人集めることに成功した中堅プレイヤー。
ですが、実際にこのチームが行うことになるのは、試合ではないのです。
それはレーティング1800のプレイヤーの地力を2200の水準に高める教育活動が行われ始めます。
あなたも身に覚えがありませんか?
8人制Raidの穴埋めに連れてきた新人のためにギアリングを手伝い、ギミックを覚えさせ、何度かクリアーして錬度が成熟してきたころに離脱者が出る。そしてまた同じように新規メンバーの教育活動が始まるのです。
結局のところElitestなチームを作ったつもりが、いつまで経ってもチームの平均以下のプレイヤーの教育を行っているだけで、チーム全体の錬度を高める段階にまで到達しないのです。
だからチームを作ることは難しい。
人間は簡単に成長したりはしません。
本当のレーティングが50伸びるには膨大なプレイ時間が必要とされるでしょう。
あなたにそれだけの時間を他人の教育に付き合うだけの余裕があるでしょうか?
本日のまとめです。
エリートなチームを作るためには二つの方策があります。
・チームの平均能力をしっかりとそろえる。(リクルーティングが課題になります)
・平均以下のメンバーを気長に教育する。(この膨大な準備期間の間、エリートなチームを目指すチームに過ぎません)
結局、本当に上手いプレイヤーはこの点が分かっているので、下手糞をリクルーティングしたりはしません。レーティング2200のプレイヤーはお前と固定を組んだりしようとは思わないんだ。あるとしたら、下半身か金銭か精神性のいずれかに課題を抱えているからよく鑑みろ。